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※未来の昌浩と彰子のお話(夫婦設定)※
ほんの少し大人向け。大丈夫な方だけどうぞ。
ちなみに管理人は天狐編まで読了。そこからの未来設定ですので悪しからず。
最新刊辺りでは昌浩は17?18?になってるんだってね!しょーげきてきっ!!
***
仕事が仕事なだけに、身内に言えないことが多々あると思う。本意ではない仕事も多いのだと思う。
自らの地位のために、他人を蹴落とす方法を探している人は残念ながら非常に多いのだ。そして、そんな思惑が入り乱れる場所で陰陽師たちは仕事をしている。例に漏れず、夫である昌浩も。
妻戸を開けて中を見れば、予想通り文台で書物を広げている昌浩の後ろ姿があった。
隣にそっと腰を降ろせば、ようやく気付いたのかぎこちない笑みが向けられた。
時々こんな顔をする。
そういう時は、あまり良くない仕事をした時。本当は帰ってきた時にはもう気付いていたのだけれど。
「今日もお疲れさまでした」
「……うん、ありがとう」
強張った頬にそっと手を伸ばすと、昌浩の大きな手が重ねられた。
「……あー、俺、まだまだだね。彰子にそんな顔させてちゃだめだよね」
言うと同時に抱き締められた。
顔は上げずにそのまま首を振る。
昔も、今も、何も出来ないのが辛い。ただ待つだけ。それでも昌浩は言うのだ。笑っていて欲しいと。それだけで力になっているのだと。
「彰子……」
「はい」
こういう日は、たぶん……
そこまで考えて自分の考えは正しかったのだと頬を染めながら思う。口付けが降りてきて、それから単衣の襟が広げられた。
「……っ」
「彰子……っ」
熱い波に揺さぶられ、胸が締めつけられる。声すらまともにあげられない。
昌浩とのこの行為はいつも、とても優しさと思いやりに溢れた温かいものなのに、勝手に高ぶっていく自分の感情に抑制がきかない。
いつだって、苦しくなるぐらいに、愛おしい。
揺さぶられながら見上げれば、辛そうな瞳が、言外にごめんと告げていて。
違うのだと、ただ辛いというわけではないのだと伝えたいのに、うまく言葉にできない。
変わりに昌浩の頬へ、必死に手を伸ばす。
大丈夫、いつだって何があったって、私はあなたの味方だから。だから、そんな辛そうな顔をしないで。
頬へと伸ばした手に気持ちを託した。あなたを想うこの気持ちを。
触れた先で、一拍おいて昌浩が微笑む。
口付けが落とされて耳元で愛の言葉が囁かれた。
絶え間なく続く波に、高ぶる感情に、変わらず翻弄されながら、少しだけ和らいだ昌浩の表情を垣間見て安堵した。
あなただけじゃない。私だって、愛しい人には、いつだって笑っていて欲しいーー。
***
title:空想アリア
初書き少年陰陽師ssがこんなんでいいのか。
もっとほのぼのしてた方が絶対良かったと思う…。でもどうしても書きたかったので満足!
原作いつまで続くのか知らないけれど、ハッピーエンドがいいなぁ!
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