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太陽の欠片(影山×麗子)

※ドラマ「謎解きはディナーのあとで」から、影山→麗子。






***






「あなた、彼女っているの?」


ただなんとなくの思いつきで聞いたであろうその言葉を軽く交わす。
もしも「いる」と答えたら彼女はどんな反応を返すのか、そんな考えが一瞬よぎったが打ち消した。


「……君」


そう言ってバックミラー越しに見つめれば、大きな瞳を見開いて固まるその素直さを、微笑ましく思う。

いつでも、どこにいても、呼ばれたらすぐに駆けつける。他の誰でもないお嬢様のために。そんな男に彼女がいると思うのか。

少しのあてつけと、密かな自分の想いを、執事としてのギリギリのラインで伝える。

こちらの想いに気付いてしまうかもしれない。けれど、事件のあらましと絡めて答えれば、恐らく軽い冗談だと気付くはずで。

予想通り何股かける気なのかと笑った彼女に、笑みを返して運転に専念する。

大財閥のお嬢様らしく我が儘で、気が強くて、およそ好みのタイプではない彼女。けれど、刑事として日々奮闘する姿や天真爛漫な笑顔はとても好ましく、気持ちに素直でくるくると変わる表情には目を奪われる。
まるで太陽のように輝く彼女から目が離せなかった。


「ねぇ、影山。もしもあなたに彼女が出来ても……、……ううん、やっぱりなんでもない」


言いかけて止めた先は安易に想像がつく。眉を下げ困った表情の彼女を見やって、求めているだろう返答を口にした。


「私はずっと、お嬢様にお仕えしますよ」


驚いた表情で瞬きをして、少しはにかんで素直に感謝の言葉を口にする彼女を、とても美しいと思った。
自分には持ち得ないその内面に、自分でも驚くほどに惹かれている。

けれど、自分は執事だ。
この仕事には誇りを持っている。この気持ちを知らせることも、知られるような事態になることも、ないだろう。
このまま彼女に仕え、日々を過ごしていけば、いずれ溢れてしまうであろうその感情にきつく蓋をして、まもなく見えてくる宝生邸へとハンドルをきった。







***




再放送でまんまとハマってしまった(‘へ‘)ドラマ二次はトリック以来だなぁ。

謎ディは原作も読んでるけど、所々にお嬢様と執事のラブフラグたちまくりのドラマの方が好きです。
お嬢様は時々すごく素直で無邪気で、可愛らしいなーと思うのです。普段は強気で我が儘で、ザ・お嬢様!って感じなのに。そのギャップに影山は結構やられているんじゃないかと思ったりしてます。


title:decadence



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